土質試験について
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土の判別分類のための試験
各種試験に用いる試料の最大粒径各種試験の試料調整
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土質試験の目的は、物理的な性質および力学的性質を求めて判別分類し、その土のもっている性状を工学的に把握することにある。
土の含水比試験
土の性質は、その中に含まれている水の量が多いか少ないかによって大きく変わるので、土工を行うにあたっては土中に含まれている水分を定量的に知ることは重要なことである。
土の含水比w(%)は土の乾燥質量ms(g)に対する土中の水の質量mw(g)との比を百分率で表す。
w=mw/ms×100(%)
主な土の自然含水比の例試験結果の利用
一般に砂、砂質土などは強度が高く、粘土、粘性土は強度が低いと考えられる。しかし同一土質でも含水比によって大きく強度が異なる。含水比は土の性質を表す重要な指標の一つであり、その程度により土の物理的、力学的性質は大いに異なってくる。 土工を行う場合には、あらかじめ含水比と土の諸性質との関係を調べ自然状態における含水比での盛り土材料としての適否や施工計画を検討するのが重要である。
土粒子の密度試験
自然にある土は、土粒子(固体)、水(液体)、空気(気体)から構成されており、土の生成過程とその後の経過時間、土がおかれている状況によって割合は様々である。そのうち、土粒子部分は鉱物質の土粒子や植物繊維などの固体の有機物で構成されている。
土粒子の密度ρsとは土粒子の単位体積Vs(1cm3)あたりの質量ms(g)。
ρs=ms/Vs (g/cm3)
主な鉱物と土質における土粒子密度の例試験結果の利用
- 1土の状態を表す間隙比 e 、飽和度Sr を求めるのに用いる。
- 2粒度試験の沈降分析結果より土粒子の粒径dを計算するのに用いる。
- 3締固め試験の空気間隙率一定曲線や飽和度一定曲線を描くのに用いる。
なお、土中の空気間隙が全くなく飽和度100%の曲線を空気間隙率曲線といい、乾燥密度-含水比のグラフに併記する必要がある。
土の湿潤密度試験
土の湿潤密度ρtは間隙に含まれる水分量によって変化する値であり、乾燥密度はρdは水分量を除いた密度であり、土の締まり具合を判定する場合に用いる。
試験方法はノギス法とパラフィン法があり、それぞれ供試体を整形、或いはパラフィンを塗布し質量等を測定する。
ノギス法
不攪乱試料をトリマー・ワイヤソーで円柱形に供試体を成形し表面を平滑に仕上げる。
V=(π/4)・D2・H
供試体の体積 | V (cm3) |
平均直径 | D (cm) |
平均高さ | H (cm) |
ρt=m/V
湿潤密度 | ρt(g/cm3) |
供試体の質量 | m (g) |
湿潤密度ρtを重量で表した単位体積重量γt
重量は質量に重力加速度 ɡn(=9.80655m/s2)を乗じて求める
γt=ρt・ɡn (kN/m2)
単位体積重量は斜面の安定・土圧・支持力等の算出に利用される。
土の粒度試験
地盤材料の粒径区分とその呼び名土は大小さまざまな土粒子が混ざり合ってできている。土粒子は、礫や砂などのように粒径の大きなものから、粘土のように非常に小さなものまで幅広くあり、粒径によって呼び名が区分される。
土粒子の粒径別の含有割合を粒度といい、その分布状態は全質量に対する粒径別の質量百分率を用いて表される。 この試験は土の粒度を求めることを目標としている。粒度試験は高有機質土以外の土を対象とする。 土を構成する粒径の範囲が広いため、試験は75μm (0.075mm)以上のふるいに残留した土粒子の粒径についてはふるい分析、それ未満については沈降分析により行う。
試験結果の利用
- 均等係数
- Uc =D60 / D10
- Uc>10 粒径幅の広い
- Uc<10 分級された
- 曲率係数
- U’c=(D30)2 /(D10×D60)
- U’c=1〜3 粒径幅の広い
道路の路盤材、裏込材などは交通荷重に対して十分な支持力を持ち、また変形に対する抵抗性を増すうえから粗粒分に対しては粒度の規定がなされる。細粒分に対しては、水を含むと材料が軟弱化することがあるので75μm ふるい通過量および塑性指数 Ipの規定がなされる。また、透水性、液状化の判定に利用される。
土の液性限界・塑性限界試験
土のコンシステンシーは、土の硬軟の程度を表したことばで、一般には外力による変形、流動に対する抵抗の度合をいう。土のコンシステンシーは、含水比の大小によって左右されかたい、やわらかい、もろいなどのことばで表される。
液性限界(LL、WL): | 土が液状から塑性状に移る限界の含水比である。 |
塑性限界(PL、Wp): | 土が塑性状から半固体に移る境界の含水比である。 |
収縮限界(SL、Ws): | 含水比をある量以下に減じてもその土の体積が減少しない状態の含水比。土が半固体状を示す最小の含水比。 |
塑性指数 (Ip) : | 液性限界と塑性限界の差である。( Ip=WL−Wp ) |
試験結果の利用
塑性指数(Ip)は、路盤材などの良否を判定する重要な要素となっている。一般に塑性指数が高いほど吸水による強度低下が著しいとされている。 自然含水比(Wn)と液性限界(WL)の相対関係からトラフィカビリティが判定できる。自然含水比が液性限界より大きいときは施工中に泥状化するので施工機あるいは工法の選択に注意をする。 コンシステンシー指数(Ic)は粘土の相対的な硬さなり安定度を意味する。Ic ≧ 1 である場合は自然含水比が塑性限界に近いかあるいはそれ以下となり比較的安定な状態にあることを意味する。Ic = 0 である場合は自然含水比が液性限界に近く土を乱せば液状を呈することを示している。
コンシスシテンシー指数Ic =(WL−Wn)/(WL−Wp=Ip)
突固めによる土の締固め試験
同じ土を同じ方法で締め固めても、その土の含水 比によって締め固めの程度は異なり、締め固めた土 の乾燥密度とその含水比の関係をグラフに描くと 凸な曲線となる。この乾燥密度−含水比曲線を締め 固め曲線といい、そのピーク点の含水状態において 土が最も締め固まることを示す。 この試験はピーク点の含水比(最適含水比 wopt ) とそのときの乾燥密度(最大乾燥密度ρdmax)を求める ものである。 土中の間げきに全く空気のない(飽和度Sr=100%、空気間げき率Va=0%)場合の時、ρdsat とwとの関係を表す曲線であるゼロ空気間げき率曲線を締固め曲線にの図に記入しておく。
試験結果の利用
締固め試験の結果は、現場において盛り土や路床など締固めた土の品質や施工を管理するための基準として利用される。
締固め度Dcによる規定
- 盛土・・・・・・・・最大乾燥密度ρdmax の85〜95%以上 (Dc ≧ 85〜95%)
- 路床・・・・・・・・最大乾燥密度ρdmax の90〜95%以上 (Dc ≧ 90〜95%)
施工含水比は最大乾燥密度ρdmaxと締め固め度Dcの得られる湿潤側の含水比の範囲。 自然含水比wnが wopt より乾燥側の土では締め固め度Dcを満足しても浸水時に強度の減少する恐れがあるので注意が必要である。
土を最適含水比状態にして締固めると、同じ締固めエネルギーで最も合理的に盛土などの施工管理ができる。土を締固めると空気が追い出され土の間隙部が減少するため土粒子間の間隙が密となり、粒子の噛み合いによるせん断強さが増大し荷重による沈下や変形も小さくなる。 また、透水性も低下し浸水による地盤の軟化・膨張が小さく安定した地盤状態となる。
CBR試験
CBR(California Bearing Ratio の略)試験は、路床土や路盤材料の支持力指数を決定するための試験。 CBRとは「所定の貫入量における荷重強さの、その貫入量における標準荷重強さに対する百分率」と定義されている。
貫入量2.5mmおよび5.0mmの時の荷重強さ(又は荷重)を定められた標準荷重強さ(又は荷重)に対する百分率で表す。
吸水膨張試験は路床や路盤が長期間雨などによって最悪な状態に至った場合を想定して貫入前に供試体を水浸させるもので、吸水量と膨張比を測定する。 通常、水浸直後から1,2,4,8,24、48、72、96hの各時間毎に膨張量を測定する。
試験結果の利用
舗装の設計から施工までの支持力および材料の評価基準として多用されている方法として、室内CBR試験より得られる設計CBRおよび修正CBR、現場CBR試験より得られる現場CBRがある。
アスファルト舗装要綱では
- 設計CBR : アスファルト舗装の厚さの設計のために求められる路床土のCBR
- 修正CBR : 路盤材料の強さを判断するために求められるCBR
安定処理又は置換工の場合
CBRが3未満の路床を改良した場合、その施工厚から20cm減じたものを有効な構築路床の層として扱う。そして、改良した層の下から20cmの層は、安定処理の場合は安定処理した層のCBRと現状路床土のCBRの平均値をそのCBRとし、置換えの場合は現状路床土と同じCBRとして計算する。なお。CBRが3以上の現状路床を改良して構築路床を設ける場合は、このような低減を行わなくて良い。ただし、改良層のCBRの上限は20とする。
土の圧密試験
土に荷重が加わることにより、土粒子がつくる土骨格が縮む現象を圧縮という。 不飽和土の場合は動的荷重により、間隙中の空気や水を追い出して圧縮させると体積が減少 して密度が増加する場合が圧密である。
圧密試験は、実地盤から採取した乱さない試料を用いて実地盤の沈下量や沈下時間の推定に必要な圧縮性と圧密速度などの圧密定数及び圧密降伏応力を求める。
一般的に行われる段階載荷による圧密試験方法 (JIS A 1217)
直径6cm、高さ2cmの供試体を用い、側方変位を拘束し、上下面の排水を許した状態で、荷重を初期値から順に2倍ずつ段階的に24時間載荷し、その間の時間と圧縮量を測定する方法である
通常、圧密応力pは次の8段階である。
圧密応力 p : 9.8 、19.6 、39.2 、78.5 、157 、314 、628 、1256kN/m2
粘土の圧縮性と圧密速度は、主として塑性に依存し、高塑性の粘土ほど圧縮性は大きく、圧密速度は遅い。
圧縮指数Ccは液性限界WLと相関関係がある。
大阪沖積粘土 | Cc=0.010(WL−12) |
石狩粘土 | Cc=0.014(WL−20) |
関東ローム | Cc=0.011(WL−10) |
通常の沖積粘土では次の範囲にある
圧縮指数 Cc : | 0.3 〜 1.0 |
圧密係数 Cv : | 20〜200cm2/d |
土の三軸圧縮試験
1.土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験方法
非圧密非排水状態で軸圧縮されるときの強度・変形特性を求める。 粘性土地盤の安定・支持力の推定のため。
2.土の圧密非排水(CU)三軸圧縮試験方法
等方応力状態で圧密された土に対して、非排水状態で圧縮されるときの強度・変形特性を求める。 地盤を圧密させた後の強さを推定。
3.土の圧密非排水(CU)三軸圧縮試験方法
等方応力状態で圧密された土に対して、非排水状態で圧縮されるときの強度・変形特性、 および主応力差最大時の有効応力を求める。 地盤を圧密させた後の強さを推定。
4.土の圧密排水(CD)三軸圧縮試験方法
等方応力状態で圧密された土に対して、排水状態で圧縮されるときの強度・変形特性を求める。 砂質土地盤の安定・支持力等の推定。
一軸圧縮試験
一軸圧縮試験は、自立する供試体に対して拘束圧が作用しない状態で圧縮する試験であり、その最大圧縮応力を一軸圧縮強さquという。 乱さない粘性土・練返した試料・改良土などの供試体に適用する。 JIS A 1216で規定されており、直径3.5或いは5.0cmとし、高さを直径の1.8〜2.5倍に整形した円柱形の供試体に毎分1%の圧縮歪みが生じる割合を連続的に圧縮を加える。
一軸圧縮試験の目的と利用供試体の圧縮ひずみε(%)
ε=(ΔH/Ho)×100
- ΔH : 圧縮量 (cm)
- Ho : 圧縮する前の供試体の高さ(cm)
圧縮応力σ(kN/m2)
σ=(P/Ao)×(1−ε/100)×10
- P : 圧縮ひずみがε(%)の時に供試体に加えられた圧縮力 (N)
- Ao: 圧縮する前の供試体の断面積 (cm2) (=πDo2/4)
- Do: 圧縮する前の供試体直径 (cm)
土の透水試験
透水性とは、土中における自由水の移動のしやすさを表す性質のこと。 土の透水試験には定水位透水試験と変水位透水試験があり、対象とする土の種類、透水性の大きさにより適用が異なる。
透水係数の目安下図は、土の乾燥密度の変化により透水係数も変化する状態を測定したものである。
(変水位透水試験)
土の強熱減量試験
110℃で一定質量になるまで炉乾燥した試料土を電気マッフル炉を用いて700±50℃の高温で 1時間強熱し減少質量を測定する。その減少質量を百分率で表す。
強熱減量Li(%)=(ma−mb)/(ma−mc)×100
- ma : 炉乾燥質量とるつぼの質量(g)
- mb : 強熱後の試料とるつぼの質量(g)
- mc : るつぼの質量(g)